写真は、ASRock A620M-HDV/M.2+、A620チップセットのアップ。
このページは、ソケットAM5のAMDチップセット800シリーズの内容になります。
マザーボード選びの参考になる資料。
本記事は冗長で長いです。まとめ・要点だけでよければ、以下の方がわかりやすいです。
ソケットAM5用チップセット(600シリーズ・800シリーズ)のまとめ・要点
Ryzen 9000シリーズ世代のチップセット800シリーズ
AMD公式:AMD Socket AM5 Chipsets
AMDチップセット 800シリーズは、
X870E (Promontory21 X 2)
X870 (Promontory21 X 1)
B850 (Promontory21 X 1)
B840 (Promontory19 X 1)
がラインナップ。
「Promontory」はチップセットのメインチップ。
X870EはPromontory21が2つ使われていて、X870やB850は1つ。B840はPromontory19という下位チップが1つ。
800シリーズの前は、600シリーズです。(700シリーズはありません、スキップされました)
この時のメインチップ・モデルも「Promontory21」です。メインチップが同じなので、スペック的にはトピックがありません。
2024年8月22日現在はまだ発表になっていませんが、マザーボードメーカーがどのような差別化を施してくるか興味のあるところです。
600シリーズのチップセットでは、型番に「E」がつくものはグラフィックス用のバスがPCIe®5.0、つかないものはPCIe®4.0という案内でしたが、800シリーズではメインチップ(Promontory)が2つのものに「E」がつく感じです。
AMD公式にも、B850とB840は未記載(2024.07.19時点)の為、確認の取れる範囲で記載。
(スペック的にもこのまま出てこないような感じもしますが、マザーボードメーカーの採用次第)
記事掲載時のRyzen 9000シリーズのスペック表ではSupporting Chipsetsとして、以下が案内されていました。
A620 , X670E , X670 , B650E , B650 , X870E , X870
800のチップセットとしては「X870E , X870」のみ表記。(B850、B840はまだ出てきていない)
AMDチップセット800シリーズは、ソケットAM5のRyzen 7000シリーズ、Ryzen 8000Gシリーズ、Ryzen 9000シリーズのプロセッサーに対応します。
以前のソケット AM4対応のチップセットについては、以下をご覧ください。
(Ryzen 5000シリーズCPU以前)
AMDソケット AM4 チップセット 500シリーズ 比較、まとめ、セットするCPU
AMD ソケット AM5 とは (Socket AM5)
ソケットAM5は、AMDのCPUソケット名称。
AM5以前には、AM3+、FM2+、FS1b、AM4とありました。
それぞれのソケット毎に対応するCPUをセットする事になります。
ソケットAM5対応のCPUは、Ryzen 7000シリーズ、Ryzen 8000Gシリーズのプロセッサー(CPU)。
Socket AM5 1718pin [LGA (Land Grid Array)]
・TDP170Wまでのプロセッサに対応
・DDR5対応(DDR4未対応)
・PCI Express 5.0対応
各ソケット間に互換性はありません。
PCIe(PCI-Express) グラフィックスとNVMeのサポート
PCIeは、PCI-Expressの略名称。
PCI-Expressは、CPUやチップセットが他のデバイス – グラフィックスボード(グラボ、GPU)やストレージ(m2、SSD等)、その他(サウンドカード等)とデータをやり取りする通路。
以下の値は、「ダイレクト・プロセッサー PCIe」です。
AMD公式 – AMD ソケット AM5 チップセット 仕様
グラフィックス | NVMe | |
X870E | PCIe®5.0 | PCIe®5.0 1×4 |
X870 | PCIe®5.0 | PCIe®5.0 1×4 |
B850 | PCIe®4.0 | PCIe®5.0 1×4 |
B840 | PCIe®3.0 | PCIe®3.01×4 |
X870E、X870までがグラフィックス用のバスがPCIe®5.0対応。
B840は、600チップセットも含めて、一番下位のスペック。
A620は、グラフィックス、NVMe共にPCIe®4.0。
B840がA620の上位のように案内されているサイトも多いですが要注意です。
A620は今時の周辺機器用(グフラフィックスやNVMe)に仕様がなっていますが、B840は、旧世代用で、以前の周辺機器を活かす方向けの割り切りチップセットです。
グラフィックス レーン数 通信量
グラフィックスとはその名の通り、GPU(Graphics Processing Unit)ボードの接続スペック。
グラフィックボード/ビデオカードは、PCIeスロットと呼ばれるところに刺します。
1×16/ 2×8は、16レーンが1つ or 8レーンが2つの組み合わせ。
レーンは、PCIeの通信経路の1組で、複数を束ねて大量のデータを通信するようになります。
1レーンの通信速度は世代で異なります。
PCIe®5.0:32Gbps
PCIe®4.0:16Gbps
PCIe®3.0:8Gbps
スペック的には以下になります。
仕様 | グラフィックス 最大通信量 | |
X870E | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | 512Gbps x1 or 256Gbps x2 |
X870 | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | 512Gbps x1 or 256Gbps x2 |
B850 | PCIe®5.0 1×16/ 2×8 | 512Gbps x1 or 256Gbps x2 |
B840 | PCIe®3.0 1×16 | 128Gbps |
(PCIe®5.0) 32Gbps X (レーン数)16 = 512(Gps)
という計算です。
チップセット600シリーズと概ね同等のスペックになります。
「x2」はレーンを分割して、GPU(グラフィックスボード)を2枚動作させる仕様。
データ元:Ryzen 9000シリーズの発売日や新チップセットが判明 AMD Tech Dayレポート(1枚目の画像)
NVMe(M.2)は、ストレージ用 データ伝送量
NVMe(Non-Volatile Memory Express)とは、(フラッシュ)ストレージのために最適化された通信プロトコルの名称。
M.2は、SSDの接続端子について定めた規格の名称。
仕様は「1×4」となってますが、対応するPCIe®世代から、以下のようになります。
これは、チップセットの仕様で、マザーボード側で2つ目のM.2を用意することもあります。
仕様 | NVMe 最大通信量 | |
X870E | PCIe®5.0 1×4 | 128Gbps(16000MB/s) x1 |
X870 | PCIe®5.0 1×4 | 128Gbps(16000MB/s) x1 |
B850 | PCIe®5.0 1×4 | 128Gbps(16000MB/s) x1 |
B840 | PCIe®3.0 1×4 | 32Gbps(4000MB/s) x1 |
bps(bits per second)は、1秒間の伝送レートで、ビット数。
G=ギガ、M=メガは、B=バイト、情報の単位。
bit(ビット)は2進数の1桁。1Byte(バイト)は8ビットとなっています。
1Gbpsは、1000Mbpsなので、128Gbpsは、128000Mbps=(128000/8)=16000MB/sが上限です。
ただし、PCIe®5.0対応のM.2 SSDは、スペックこそPCIe®4.0の64Gbps(8000MB/s)を超えているもののまだまだ伸び代がある状況です。爆熱らしいので寿命も心配。
*1:マザーボードのオプション対応でPCIe®5.0もあります。
PCIe®レーン 数 – 仕様・比較
レーン合計/PCIe® 5.0 (最大) | |
X870E | 44/24 |
X870 | 36/24 |
B850 | – |
B840 | – |
PCIe® 5.0レーン数は、グラフィックスとNVMeを含みます。
ユーザー利用可能なレーン数(直結数)は、最大24レーンですが、グラフィックスで16レーン、NVMeで4レーンを使用した場合、残り4レーンとなります。
USB数、SATAポート数 – 仕様・比較
USB 5 Gbps | USB 10 Gbps | USB 20 Gbps | SATAポート | |
X870E | 2 | 12 | 2 | 8 |
X870 | 1 | 6 | 1 | 4 |
B850 | – | – | – | – |
B840 | – | – | – | – |
SATA ポートは、または(or) PCIe® 3.0という仕様。
PCIe®3.0は8Gbpsという通信量。
SATAポートは、第3世代の「SATA3」または「SATA6.0」と呼ばれ、HDDやSSDを繋げます。
データ転送速度の理論値は最大6.0Gbpsです。
6000Mbps=750MB/sとなりますが、実効転送速度は600MB/s程度。
ネットワークドライブには申し分ありませんが、パソコン内蔵ストレージには、今となっては遅く感じます。
オーバークロック対応 – 仕様・比較
CPUオーバークロック対応 | DDR5 メモリ オーバークロック対応 | |
X870E | はい | はい |
X870 | はい | はい |
B850 | – | – |
B8400 | – | – |
オーバークロックして楽しみたい方向け情報。
Ryzen 9000シリーズのCPUの定格最大メモリクロックは、DDR-5600です。
(4枚差しの場合は低くなる、Ryzen 7000シリーズではDDR5-5200)
定格以上のメモリを使う場合はOC(オーバークロック)対応のメモリを使用します。
AMD チップセット800シリーズ(Chipset) まとめ
前世代になるチップセット600シリーズは、DDR5やPCIe®5.0対応があったので、大きな変化がありました。
チップセットとしてみれば、チップセット800シリーズは見どころがない(少ない)感じです。
PCIe®5.0は、周辺機器がまだ速度(帯域)を生かし切る状態にはないので買って安心です。
まだ、B850やB840も出てきていませんが、チップセット600シリーズでスペック的には被ります、最終的にはチップセット600シリーズがフェードアウトしていくと思います。
AMD Ryzen 9000シリーズ(AM5 プロセッサー)
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